ここはどこ? 私は誰? お座敷

いつの間にか、私は気を失っていたらしい。
目を覚ましたら、薄っぺらい布団に寝かされていた。
障子の向こうは日本風の庭が広がっている。床の間には書の掛け軸。窓の下に文机が置いてあった。
どこかの家なのかな?
ここの家の人に助けられたんだろうか? 木綿の浴衣に着替えさせられているし……
私は血が流れていた脇腹に手をやった。
(……あれ?)
血が出ていない。
それだけではなく、痛みもなかった。
浴衣の裾をまくって、私は脇腹にじかに触れた。脇腹だけでなく、あちこちをまさぐった。
「傷がない……!」
思わず、声をあげてしまった。
まさか、そんなはずはない! あれだけ、大怪我をしていたのに……。
私は慌てて額にも手を伸ばした。額からも多量の出血をしていたはずだった。
それなのに。
「怪我がない……どうして……!」
その叫び声が廊下に響いたようだ。
足音が近づいてきて、お座敷の前で止まった。

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