ここはどこ? 私は誰?
全身を打つ雨に、私は目を覚ました。
ここはどこなんだろう?
夜なのかもしれない。真っ暗だ。
時々空を走る稲妻で、周りの景色がかろうじてわかる。
草地に寝転ぶ私を、杉木立が取り囲んでいる。伸びた葉叢が私を雨から守るようにかぶさっていた。
森の中なのかな? どうして、こんなところに……
「い……たっ……」
体を動かそうとしたら、全身を痛みが貫いた。
身体中が痛くて動かせない。
身動きしただけで、骨が軋む。手や足が悲鳴をあげた。
右側を下に横たわっていて、顔を伏せて雨を避けるのが精いっぱいだった。
脇腹に手をやると、どろっとしたぬめりがあった。
(……何これ……血?)
怪我をしているの? なぜ……
降りしきる雨に混ざって、鮮血が流れ続けている。
額も殴られたように痛く、こちらも出血しているようだった。
何があったっていうの?
思い出せない。
いえ、そもそも……私は誰だっけ?
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